【令和6年度改定】就労継続支援A型 基本報酬はどう変わる?

はじめに

 

現在、就労継続支援A型の基本報酬は「スコア方式」が採用されています。

令和6年度の報酬改定で、このスコアを出すための評価項目や、項目ごとの点数が変更されることになりました。

この記事では、具体的にどのように変更されるのか詳しく解説します。

 

※そもそもスコア方式って何?という方は以下の記事をご覧ください

【障害福祉】就労継続支援A型 基本報酬のスコア方式とは?

 

具体的な変更内容は?

 

まずは下記の表をご覧ください。

(厚労省資料:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容より抜粋)

 

変更は大きく次の3つです。

 

① 項目ごとの評価の点数が変わる

② 新しい評価項目が増える

③ 単位数が変わる

 

それでは1つずつ確認していきましょう。

 

① 項目ごとの評価の点数が変わる

 

変更がある項目は「労働時間」、「生産活動 」、「多様な働き方」、「支援力向上 」の4つです。

 

【労働時間】

 これは利用者が1日に平均何時間労働しているかによって評価される項目ですが、

 今までよりも平均労働時間が長いことが高く評価されるようになります。

 点数は次のとおりです。

 

【生産活動】

 これは利用者が行う仕事(生産活動)に関わる収支によって評価される項目ですが

 今までは、前年度と前々年度における生産活動での収支から、利用者へ支払う賃金の総額を引いた

 結果によって、4段階で加点されるようになっていました。

 これが、前々々年度も計算の対象にする段階が増え、かつ結果によっては減点の場合もあり得るよ

 うになりました。

 点数は次のとおりです。

 

【多様な働き方】

 これは、利用者が多様な働き方をできる制度が整っているか、またそれが活用されているかが評価

 基準となっています。

 今までは下記の8項目の中で、就業規則等に制度を定めていれば1点、

 制度を活用した実績があればさらに+1点、その合計点でスコアが決まる評価方法でした。

 

 しかし今回の変更で制度を活用した実績で加点されることがなくなり、

 就業規則等に制度を定めていることで1点という評価のみ、スコアも15点が上限となります。

【支援力向上】

 これは利用者ではなく、事業所の職員の支援力を向上させる取り組みを行っているか

 が評価基準となっています。

 今までは下記の8項目の中で、それぞれ取組状況に応じて1~2点と決められており

 その合計点でスコアが決まる評価方法でした。

 

 しかし、今回の変更で項目ごとの配点は一律1点となり、スコアも15点が上限となります。

 

② 新しい評価項目が増える

 

今回、新しく次の2項目が追加されます。

・経営改善計画

・利用者の知識及び能力向上 

 

【経営改善計画】

 就労継続支援A型では、国から受け取る介護給付費から利用者へ賃金を支払うことは原則NGで、

 以下のような収支になっている必要があります。

 

 【生産活動事業収入ー生産活動に必要な経費】≧【利用者への賃金額】

 

 これが満たされていない場合、「経営改善計画」を自治体へ提出し改善に努めなければなりません。

 今までも経営改善計画の作成義務はありましたが、今回の変更で提出期限までに未提出の場合は50点減点されることとなりました。

 

【利用者の知識及び能力向上】

 利用者の知識や能力の向上のために事業所が支援を行うと10点加点されるようになります。

 

 ポイントは、支援の具体的な内容を報告書にまとめることと、それをインターネット等で公表する

 必要があるということです。

 

 なお支援が1つ以上で10点なので、例えば2つ取り組むとさらに加点となるわけではありません。

 

③ 単位数が変わる

 

スコアに応じた基本報酬の単位数は、全体的に今までよりも高くなります。

例えば定員が20人以下、人員配置が7.5:1の事業所の場合は以下のようになっています。

その他の基本報酬の単位数はこちらからご確認ください。

 

さいごに

 

いかがでしたでしょうか。

今回の変更によって、今までよりも経営状況の改善や一般就労への移行などが高く評価されるようになります。

事業の経営に大きく関わる基本報酬の変更となりますので、ポイントを抑えてスコアアップを目指していただければ幸いです。

 

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