【障害福祉】就労継続支援A型 基本報酬のスコア方式とは?

就労継続支援A型のスコア方式とは?

就労継続支援A型事業所における基本報酬の単位数は、スコア方式で決まります。

 

スコア方式とは簡単に言うと、利用者の平均労働時間や生産活動の売上、

利用者が働く環境整備の取り組みなど5つの項目があり、

項目ごとに点数を付け、その合計の点数が200点満点中何点取れているかによって

基本報酬の単位数が決まる方式です。

 

例えば、定員20人以下、人員配置が7.5:1の事業所の場合、

単位数は下記のようになっています。(令和6年1月現在)

※その他の場合の基本報酬はこちらからご覧いただけます

 

なお点数は基本的に前年度の実績をもとに付けます。

ただし、新規に開業したばかりの事業所は以下のような取り扱いがあります。

 

 ・4月に指定を受けた場合:初年度は評価点が80点以上105点未満の場合とみなす

 ・年度途中(5月から3月)に指定を受けた場合:初年度と2年度目は、評価点が80点以上105点未満の場合をみなす

 

点数の付け方は?

下記のようなスコア表を使って、自分の事業所が何点になるか計算することが出来ます。

自治体により異なる場合がありますが、このスコア表等の書類を

毎年度4月に役所へ届出することで、その年度の基本報酬が決まるということです。

5つの評価項目とは?

評価項目と点数の概要は次のとおりです。

 

 

これらは項目ごとに評価の方法が異なります。

またその評価の根拠となる書類も異なりますので、

ひとつずつ確認していきましょう。

 

項目① 労働時間

利用者が1日に平均何時間労働しているかによって評価されるのですが、

平均労働時間が長ければ長いほど点数が高くなります。

 

なぜなら、平均労働時間が長くなると

それに比例して利用者の賃金が多くなる傾向がある、

つまり賃金の面で利用者にとって良い労働環境を提供している

評価されるためです。

 

具体的には下記のように点数が設定されています。

 

労働時間の計算方法

前年度の延べ労働時間÷延べ利用者数

※ただし、労働時間と利用者数はどちらも雇用契約を結んだ利用者しか

計算に含められないのでご注意ください。

 

根拠資料

下記のような書類をもとに労働時間や利用者数を計算しましょう。

実地指導の際にも確認されることがあるので、

いつでも見られるように整理しておくことをおすすめします。

 

利用者の出勤簿

利用者のタイムカード 等

 

項目② 生産活動

利用者が行う仕事(生産活動)に関わる収支によって評価されます。

 

そもそも就労継続支援A型は、生産活動の売上から必要経費を引いた金額を

利用者の賃金にしなければならないとされています。

 

このことから、生産活動の収支が利用者の賃金水準に与える影響は大きく、

利用者に支払う賃金以上に生産活動で収入を得られているかが評価基準となっています。

 

この項目では、直近の会計年度または直近2会計年度ごとの

生産活動収支利用者に支払った賃金の総額を比較して

状況に応じて次のように点数が決まっています。

※生産活動収支=前年度の生産活動売上ー生産活動の必要経費

 

 

根拠資料

生産活動の収支がわかるもの(会計書類)

利用者の賃金台帳 等

 

項目③ 多様な働き方

これは、利用者が多様な働き方をできる制度が整っているか

またそれが活用されているかが評価基準となっています。

具体的には次の順番で考えます。

 

(1)下記の①~⑧のうち、任意の5項目を選ぶ

(2)就業規則などの規定で定めている項目を数える

   →定めていると+1

   ※必ず書面が作成されている必要があります。

   経営者の頭の中にあるだけ等ではNGです!

(3)そのうち、実際に前年度中に利用者が希望して制度を活用した項目を数える

   →活用実績があると+1

   ※ただし、雇用契約を結んだ利用者に限ります

(4)最終的な値がいくつになったかによって次のように加点されます

 

項目④ 支援力向上

こちらは利用者ではなく、事業所の職員の支援力を向上させる取り組みを行っているか

が評価基準となっています。

 

具体的には、次の①~⑧の項目について

それぞれ取組状況や実績等によって評価点が異なるのですが、

この評価点の合計がいくつになったかによって次のように加点されます。

 

項目⑤ 地域連携活動

地域との連携に対して積極的に取り組んでいるかが評価基準となっています。

 

具体的には、次のような事業・取り組みを何か1つ以上行い

かつその結果(※)をホームページ等で公表していると

10点加点されます。

 

・地元企業と連携した付加価値の高い商品開発

・施設外就労など、企業や官公庁等と連携して行う生産活動 等

(※)活動内容や、連携先である企業等の意見または評価を記録した報告書など

【報告書の例】

 

根拠資料

・地元企業と連携した商品開発等であることがわかる契約書など

・活動内容や、連携先である企業等の意見または評価を記録した

 報告書を掲載しているホームページなど

 

スコア表は公表も必要!

先述のスコア表で点数をつけたら、対外的に公表が必須です。

公表の仕方は事業所のホームページ等、インターネット上での公表が推奨されていますが、

もしインターネットでの公表が困難な場合は、

以下のような方法も考えられます。

・市町村等が発行する情報誌へ掲載

・紙媒体で事業所内の見やすい場所に掲示

 

さいごに

いかがでしたでしょうか。

非常に項目数が多く複雑ですが、理解の一助となれば幸いです。

 

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