障害福祉サービス「常勤換算」を分かりやすく解説

時間のイメージ
障害福祉サービスの運営において、事業所が「人員基準を満たしているかどうか」
 ➡つまり「必要な数のスタッフが勤務しているかどうか」は最も重要な要素の一つです。

人員基準を満たしていないとそもそも事業所を開業できないですし
仮に途中で人員基準を満たしていないことが指導監査などで発覚した場合、指定の取り消しにも繋がりかねません。

なので障害福祉サービスを運営する上で正しく理解しておくことが必要です。

自治体により算出方法が異なるため注意が必要ですが、以下では基本的な考え方を解説したいと思います。

「人員基準」の考え方

会議ー打ち合わせをしているたとえば共同生活援助(グループホーム)では、世話人を6:1で配置しなければいけません。
これが人員基準です。これは1人の利用者を6人の世話人でお世話する。という意味です。
実際に事業所で勤務している世話人を常勤換算した時に、6人を上回っていれば人員基準クリアということになります。
なお人員基準はあくまでも最低の基準ですので、「人員基準の人数しか勤務させてはいけない」ということではありません。

「常勤」とは

一般的に「常勤」というと、フルタイムで働く人や、正社員のみのイメージがあると思います。
ですが障害福祉サービスにおいて常勤であるかどうかの判断方法は、それとは異なります。

「うちは全部で5人スタッフがいて、正社員は3人、あと2人はパートだから、常勤は3人か!」
というと、そうでもないのです。

障害福祉サービスにおける常勤の定義は、以下のとおりです。

 1週間あたりの勤務時間が、事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していること

これだけでは分かりにくいですよね、具体的に考えましょう。
障害福祉事業所Aで常勤の従業者が1週間に勤務すべき時間数を40時間(1日8時間×5日)としている場合、これに達していれば「常勤」40時間未満であれば「非常勤」ということになります。
※もし、その事業所で1週間に勤務すべき時間が32時間を下回る場合は、32時間を基本として考えます。
労働基準法上の法定労働時間は週40時間ですので、実際には週32時間~40時間の間で判断することになります。

常勤換算の考え方

では、常勤「換算」はどのように計算するのでしょうか。
計算方法はシンプルです。
 「事業所の従業者全ての1ヶ月あたりの勤務時間数」÷「事業所の常勤従業者が勤務すべき1ヶ月あたりの時間数
このような計算式になります。
先ほどの例で、勤務時間が週40時間に達している人は「常勤」でした。これは常勤換算でいうと「1」です。
160時間(週40時間×4週※)÷160時間(週40時間×4週※)=1
勤務時間が週40時間に達していない「非常勤」の人はどうなるでしょうか。
例えば常勤の従業者が1週間に勤務すべき時間数を40時間の事業所で週4日、1日5時間働く人の場合ha
常勤換算でいうと「0.5」です。
80時間(週20時間×4週)÷160時間(週40時間×4週)=0.5
※基本的に障害福祉で人員基準を考える際は4週で計算します

職種を兼務している場合は?

例えば 生活介護事業所の管理者として働きながら、同じ法人の就労継続支援B型事業所の管理者にもなる状態や
生活介護事業所の管理者と生活支援員を同じ人が担う状態をを兼務といいます。
業務上、兼務しても差し支えないのであれば兼務可能とされている職種のみ許されています。
また兼務の場合の常勤換算はそれぞれの事業所での勤務時間数で按分して計算することが一般的です。
ただしこれらは自治体により判断が異なるので、事前に確認することをおすすめいたします。
生活介護事業所の管理者と生活支援員を同じ人が担うパターンで考えてみましょう。
常勤の従業者が1週間に勤務すべき時間数を40時間の事業所で
管理者として1日4時間、生活支援員として1日4時間働くとして
それぞれ常勤換算すると「0.5」ずつになります。
80時間(週20時間×4週)÷160時間(週40時間×4週)=0.5

最後に

いかがでしたでしょうか。
人の数なのに0.5など小数点がでてくると複雑に感じてしまうかもしれませんが、
計算方法はいたってシンプルです。
新規の指定申請だけでなく、加算の取得や指導監査の際にも関わってくるため
常勤換算の考え方は確実に抑えておきましょう。