共同生活援助のピアサポート実施加算とは?【令和6年度新設】

はじめに

令和6年度の報酬改定で、共同生活援助(障害者グループホーム)が取れる加算として

ピアサポート実施加算退去後ピアサポート実施加算が新しく追加されました。

 

これらは、グループホームから一人暮らしを希望する利用者に対する支援が評価される加算となっています。

以下では加算を取るための要件等について詳しく解説します。

 

ピアサポートとは?

障害福祉サービスにおけるピアサポートとは、障害を持つ人々同士が互いにサポートし合うことを指します。

具体的には、同じような障害や経験を持つ人々が集まってお互いの経験や知識を共有し、精神的な支援や情報提供を行うことです。

同じ経験を持つ者同士なので、他の人には理解しにくい問題や感情を共有して共感し合うことができたり、
障害を持つ方自身が経験した具体的な対処法や解決策を提供することができるため、実践的で役立つ情報が得られるなどのメリットがあります。

またピアサポートを提供する方にとっても、提供する側になることで、自分の経験が他の人の役に立つという自己効力感が向上する効果も期待できます。

加算をとるための要件にも含まれますが、ピアサポートを提供するためには

自治体が開催する「ピアサポート研修」を受けることが必要です。

 

ピアサポート実施加算の要件

単位数:100単位/月

次の4つをすべて満たす必要があります。

 

① 自立生活支援加算(Ⅲ)を取っていること

② 障害者ピアサポート研修修了者を従業者として2名以上(うち1名は障害者等)配置していること

③ 障害者ピアサポート研修修了者により、事業所の従業者に対して障害者に対する配慮等に関する研修が年1回以上行われていること

④ 障害者または障害者だったと都道府県知事が認める従業者で、かつ障害者ピアサポート研修を受けた者が利用者へ支援を行うこと

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

① 自立生活支援加算(Ⅲ)を取っていること

 

  自立生活支援加算(Ⅲ)は、一人暮らしを希望する利用者へ移行支援住居での支援を行うことで取れる加算です。

  要件の詳細は下記の記事で解説していますのでご参考ください。

  【令和6年改定】自立生活支援加算を取るには?【共同生活援助】

 

② 障害者ピアサポート研修修了者を従業者として2名以上(うち1名は障害者等)配置していること

 

  障害者ピアサポート研修は、障害を持つ当事者同士が互いにサポートし合うためのスキルを学ぶ研修です。

  主に自治体が開催しているので、ウェブ検索で「障害者ピアサポート研修 東京都 令和6年」等と調べてみてください。

 

  研修の受講が必要な2名以上のうち、1名は障害をもつ方であることが必須なのでご注意ください。

  ※利用者ではなくあくまでも事業所で雇用されている従業員で、障害をもつ方でないと認められません。

 

③ 障害者ピアサポート研修修了者により、事業所の従業者に対して障害者に対する配慮等に関する研修が年1回以上行われていること

 

  障害者ピアサポート研修を受けた方が、他の従業員に対して研修を行う必要があります。

 

④ 障害者または障害者だったと都道府県知事が認める従業者で、かつ障害者ピアサポート研修を受けた者が利用者へ支援を行うこと

 

  上記①~③の体制を整えるのみでは加算を取ることができません。

  障害者ピアサポート研修を受けた障害者(だった)である従業員が、利用者に対して経験に基づいて相談援助を行った場合のみ

  加算を取ることができますのでご注意ください。 

 

 

退去後ピアサポート実施加算の要件

単位数:100単位/月

次の4つをすべて満たす必要があります。

 

① 退居後共同生活援助サービス費を取っていること

② 障害者ピアサポート研修修了者を従業者として2名以上(うち1名は障害者等)配置していること

③ 障害者ピアサポート研修修了者により、事業所の従業者に対して障害者に対する配慮等に関する研修が年1回以上行われていること

④ 障害者または障害者だったと都道府県知事が認める従業者で、かつ障害者ピアサポート研修を受けた者が利用者へ支援を行うこと

 

②~④はピアサポート実施加算の要件と同じです。

 

①の退居後共同生活援助サービス費は、グループホームを退居した利用者に対して支援を行う場合に取ることができます。

ただし、退去した利用者であれば誰でも良いわけではなく、自立生活支援加算(Ⅰ)又は(Ⅲ)を取っていた方のみが対象です。

また以下の要件を全て満たす必要があります。

 

 ◯利用者の一人暮らし等への移行にあたって会議を開催し、利用者の意向を反映した個別支援計画を作成すること

 ◯おおむね週1回以上、利用者の居宅を訪問し、以下の支援を実施すること

  ・利用者の心身の状況や置かれている環境、および日常生活全般の状況等の把握
  ・必要な情報の提供や助言、相談
  ・指定障害福祉サービス事業者等や、医療機関等との連絡調整

 

なお単位数は1月につき2,000単位(退居後3ヶ月間のみ)です。

※外部サービス利用型の場合も要件・単位数は同じ

 

さいごに

いかがでしたでしょうか。

ポイントをまとめると次のとおりです。

・ピアサポート実施加算と退去後ピアサポート実施加算は、障害者グループホームから一人暮らしを希望する利用者に対する支援が評価されるものです

・加算や体制の要件を満たしたうえで、障害者ピアサポート研修を受けており、かつ障害者(だった)である従業員が利用者へ支援を行うことで加算を取ることができます

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