はじめに
この記事を読むことで、共同生活援助の概要と開業に必要な要件が分かります。
一般的に「グループホーム」と呼ばれることが多いため、以下、グループホームと表記します。
1つの住居で共同生活を送る入所施設です。
事業者は住居となる施設と、そこで日常生活を送るために必要な支援・介護サービスを提供します。
入居者は主に夜間の支援を受け、日中は就労支援事業所や生活介護施設に通うことが一般的です。
1つの住居あたりの定員は原則10名以下(※)、平均入居者は6名と、他の入所サービスと比較して少人数です。
※既存の建物を利用する場合は定員20名以下、都道府県知事が特に必要と認める場合には定員30名以下とすることができます。
対象となるのは、こんな人
-
- 精神障がい者
- 知的障がい者
- 身体障がい者
「65歳未満の方」もしくは「65歳になる前日までに障害福祉サービスまたはそれに準ずるものを利用したことのある方」に限られています。
障害区分1~6の認定を受けていることも条件となります。
実際に入居を希望される方は、
「一人暮らしの生活に不安があり、一定の支援を受けながら生活をしたい」
「一定の介護が必要だが、施設ではなく地域の中で暮らしたい」
「面倒を見てくれている家族が高齢なので、将来のことを考えて集団生活に慣れておきたい」
といった理由でグループホームを選んでいます。
グループホームは、大きく3つのタイプに分類されます。
1 介護サービス包括型
1.昼夜を通して必ず1名以上職員を配置して、入居者の入浴や排
2.短期入所施設(ショートステイ)を併設し、
3.利用者の就労先や、日中活動サービス等との連絡調整、
3 外部サービス利用型
1.主に夜間において、家事などの日常生活上の援助を行います。
2.利用者の状況に応じて入浴や排せつ、食事の介護などを外部の居
3.利用者の就労先や、日中活動サービス等との連絡調整、
介護サービスを提供しない分、 タイプ1・2と比較して介護報酬の単価が低くなります。
そのため事業所数は年々減少傾向にあります。
最初は何をする?
(ただし療養介護は除く)
絶対に必要な「指定」
指定は、行政に対して申請書や必要書類を提出し、基準を満たすと判断されると受けられる許可のようなものです。
指定基準
- 職員の配置が適切であること (「人員基準」と呼ばれます)
- 事業所、入居施設の設備が適切であること(「設備基準」と呼ばれます)
それぞれ具体的な基準を確認しましょう。
以下で紹介するのは最も事業者数の多い「介護包括サービス型」の基準です。
1 人員基準
- 管理者
・1名以上必要
・常勤であること(支障がなければ他の職種との兼務は可能)
特に福祉系の資格がなくてもなることが出来ます。 - サービス管理責任者
・利用者30名に対して1名以上(※)
・非常勤でも可
必要な実務経験のある方が講習を受けて取得できる資格を持つ人しかなれません。
(サービス管理責任者とは 別記事にする予定)※利用者31名以上の場合、
さらに30名または端数増えるごとに1名ずつプラスで必要
つまり利用者31名~60名の事業所は2名配置する必要があります。 - 生活支援員
・1名以上
・非常勤でも可。ただし生活支援員と世話人のうちどちらかは常勤1名以上必要
利用者の障害者区分により必要な人数の計算方法が異なります。
特に福祉系の資格がなくてもなることが出来ます。 - 世話人
・1名以上
・非常勤でも可。ただし生活支援員と世話人のうちどちらかは常勤1名以上必要
利用者の障害者区分により必要な人数の計算方法が異なります。
特に福祉系の資格がなくてもなることが出来ます。
なお、ここでいう「常勤」「非常勤」とは一般的な正社員やパートといった考え方ではなく
「常勤換算」によるものです。
常勤換算って何?という方は以下の記事をご覧ください。
2 設備基準
<立地>
- 住宅地又は住宅地と同程度に利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあること。
- 入所施設または病院の敷地外にあること
- 1つの居室は7.43㎡以上(約4.5畳)
- 事業所全体の定員は最低4名以上
- 1つの居室の定員は1名
(利用者の状況により特別に必要と認められる場合は2名にすることも可能) - 居間(入居者同士の交流が図れる場所)を居室に近接した場所に用意すること
(食堂と併設可能 ※不可能としている地域もあるので注意) - 洗面所、浴室、トイレを用意すること
まとめ
- グループホームとは、精神・知的・身体障がい者が「地域の中で暮らす」入所施設
- 3つの種類があり、開業するためには行政の指定を受けることが必要
- 指定を受けるためには、法人であり、大きく2つの基準を満たすことが必要