【障害福祉】サービス管理責任者欠如減算を回避する方法とは?

サービス管理責任者が辞めてしまったら・・・

事業所のサービス管理責任者が、後任が決まっていない状態で辞めてしまったらどうなるのでしょうか。

ご存知の方も多いかもしれませんが、後任がいない状態が続くと報酬が減らされてしまうことがあります。

これを「減算」と言います。

では、具体的にいつから減算されるのでしょうか。また減算にならないためにできることはあるのでしょうか。

以下で詳しく解説したいと思います。

 

そもそもなぜ減算される?

サービス管理責任者は障害福祉サービスにおいて重要な職種なので

サービス管理責任者がいないと障害福祉事業者として指定が受けられません。

そのサービス管理責任者がいない状態が続くということは、

指定基準の違反にあたります。

そのため、違反に対するペナルティとして報酬が減らされてしまうということです。

 

どのくらい減算される?

とはいえ、サービス管理責任者は確保が非常に難しい職種です。

そのため国も、一定期間猶予を与えて

それでも後任を配置できないのであれば減算という形をとっています。

減算が始まる具体的なタイミングと減算の割合は以下のとおりです。

 

・サビ管が不在になった月の翌々月から欠如が解消された月まで:基本報酬の30%減

・不在が5ヶ月以上続いた場合、減算が開始して5ヶ月目から解消された月まで:基本報酬の50%減

具体例を確認しましょう。

<例1>1/31にサビ管が退職、3/31に後任を配置できた場合

→不在になった月(2月)の翌々月末までに解消されているので減算はありません

<例2>1/31にサビ管が退職、4/1に後任を配置できた場合

→不在になった月(2月)の翌々月末までに解消されていないので4月は30%減、5月から通常の報酬に戻ります

<例3>1/31にサビ管が退職、5/1に後任を配置できた場合

→不在になった月(2月)の翌々月末までに解消されていないので4月・5月は30%減、6月から通常の報酬に戻ります

 解消された日ではなく月単位で判断されるため、解消されたのが5/1でも5/31でも、5月は減算になってしまいます。

<例4>1/31にサビ管が退職、8/1に後任を配置できた場合

→5ヶ月以上(2~8月)不在が続いているため、不在になった月から翌々月(2~3月)までは減算なし、

 4月~7月までは30%減、8月は50%減となります。

減算は避けられる?

先ほどの例1のとおり、猶予期間中に後任のサービス管理責任者を配置することができれば

減算を避けることができます。

 

また一定の要件を満たした上で、サービス管理責任者の配置要件(実務経験や研修受講)を満たせていない方を

代わりに配置することで、最長2年間まで猶予期間を延ばすことができます。

それがサービス管理責任者のみなし配置という制度です。

ただしこれは、やむを得ない事由によってサービス管理責任者が配置できなくなってしまった場合にのみ

認められるものです。

 

やむを得ない事由とは?

ではやむを得ない事由とはどんな場合のことを指すのでしょうか。

・サービス管理責任者等が退職、病休など事業者に責任が無いと認められる理由でいなくなった場合

かつ、

・事業所にサービス管理責任者等をすぐに配置することが困難な場合

 

具体的な例は次のとおりです。

※自治体により考え方が異なることがありますので必ず事前に確認をお願いいたします。

 

【サービス管理責任者等が退職、病休など事業者に責任が無いと認められる理由でいなくなった場合】

・サービス管理責任者が死亡、失踪した

・サービス管理責任者が急に休職・退職した

・サービス管理責任者と突然連絡が取れなくなり、音信不通になった

・災害等で研修が中止(延期は除く)となり、期間内に研修を受講することができなかった など

 

【事業所にサービス管理責任者等をすぐに配置することが困難な場合】

・法人内の人事異動によっても配置が困難かつ、求人を募集しても採用に至らない  など

 

逆に次のような場合は認められない(にくい)です。

・ 法人の定例人事異動や定年退職

・ 事業所(法人)側のハラスメント行為や人間関係が原因で休職等となった

・ サービス管理責任者等が就業規則に定めた期限までに退職を申し出ていた

・ 研修の受講を忘れていた   など

 

ポイントは、サービス管理責任者がいなくなることが事前に予期できなかったかどうかです。

いなくなることが予め分かっていて、対処する時間があったと思われる場合には認められない(にくい)とお考えください。

とは言え自治体によって温度感が違うので、まずは一度相談されることをオススメいたします。

 

代わりにみなし配置できるのはどんな人?

みなし配置といっても、誰でも代わりになれるわけではありません。

次の条件を満たせている人のみ配置でき、1年or2年まで猶予期間を延長することができます。

 

猶予期間1年の場合

 要件:実務経験(3~8年)を満たせている人

 相談支援事業所等での相談支援業務や、 障害福祉サービス事業所等での直接支援業務を行った期間が3~8年あればOKです。

 必ずしも基礎研修や相談支援従事者初任者研修を受けている必要はありません。

 3~8年と幅がありますが、持っている資格や経験の内容によって必要な期間が変わります。

 詳細は下記の記事をご参考ください。

 サービス管理責任者になるために必要な実務経験とは?

 

猶予期間2年の場合

 要件:次の3つをすべて満たせている人

 ① 実務経験要件(相談支援業務or直接支援業務3~8年)を満たしている
 ② サービス管理責任者がいなくなった時点で、既に基礎研修・相談支援従事者初任者研修を修了済みである
 ③ サービス管理責任者がいなくなる以前から、サービス管理責任者以外の職員(生活支援員、世話人など)として事業所に配置されている

 ※あくまでも最長2年であり、その間に実践研修を修了するとみなし配置期間は終了します

 

なお、この猶予期間2年に関しては令和5年6月の制度変更から新しくできた取り扱いです。

制度変更前にみなし配置されていた方に関しても、①~③までの要件を満たせていれば最長2年まで延長することができますので

現状みなし配置をしていてまだ後任が見つかっていない事業者の方はぜひ下記の厚労省Q&Aをご参考ください。

 

特に具体例②では、制度変更前にみなし配置期間が終わって減算が始まってしまっている場合について挙げられています。

このような場合でも猶予期間を延長することができますが、

あくまでも起算点は最初にサービス管理責任者がいなくなってしまった時ですのでご注意ください。

(1年間のみなし配置期間が終わってから2年ではありません。)

 

 

      

引用元:(国通知)令和05年03月31日付サービス管理責任者等研修の取扱い等に関するQ&Aについて

 

 

みなし配置をするための手続き方法は?

 

自治体により異なりますが、一般的には変更届を提出してみなし配置を開始します。

その際、やむを得ない事由であることを説明する理由書や申立書などが必要な場合が多いです。

必ず事前に自治体へご確認の上、お手続きをお願いいたします。

 

それでも後任が見つからなかったら・・・

もし、1年or2年たっても後任が見つからなかった場合、減算が始まってしまいます。

その場合、みなし配置の期間が終わった日を始点として減算のタイミングが決まります。

サービス管理責任者が最初に不在になった日ではないのでご注意ください。

 

さいごに

今回の重要なポイントを箇条書きでまとめると次のとおりです。

・サービス管理責任者が退職後、後任が配置できないと減算が始まる

・減算が始まるまで猶予期間がある

・猶予期間は一定の要件を満たしてみなし配置をすることで最長2年まで延長できる

 

猶予期間が延長できるとは言え、やはりサービス管理責任者はなかなか採用が難しいですよね。

万が一に備えて、日頃から事業所内のサービス管理責任者候補を把握しておき、積極的に研修の受講を支援する等

法人内で育てていくこともご検討いただければと思います。

 

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