【処遇改善加算】キャリアパス要件を徹底解説!

はじめに

処遇改善加算を取るためには、「キャリアパス要件」という要件を満たす必要があります。

以下では「新しく処遇改善加算を取りたいがキャリアパス要件がよく分からない」、

「もっと上位の処遇改善加算を取りたいが、キャリアパス要件の満たし方が分からない」

こういったお悩みをお持ちの事業者様へ向け、具体的にどんなことをすれば要件を満たせるかを解説していきます。

 

キャリアパスとは?

そもそも「キャリアパス」とは、「事業所でキャリアを積み重ねていくための道筋」、

つまり事業所で働く職員が

・どんな職位、職務があるのか

・どうすれば(何をすれば)その職位、職務に就くことができるか

といったことを知ることができるような社内制度のことを指します。

事業者はこのキャリアパスを作り、運用することでキャリアパス要件を満たすことが出来ます。

 

キャリアパス要件とは?

キャリアパス要件は3つの項目があり、どれを満たせているかによって処遇改善加算の区分が変わります。

たくさん満たせていればその分処遇改善加算が多くもらえます。

 

では3つの項目とは具体的にどんな内容なのか見ていきましょう。

 

これだけ見ても事業者は結局どんな仕組みを作れば良いのか、

イメージがしづらいですよね。

まずは関連性が高いキャリアパス要件ⅠとⅢから解説します。

 

キャリアパス要件Ⅰ

キャリアパス要件Ⅰは、次の順番で考えると分かりやすいです。

 
①事業所の職位を決める

 職位は事業所内でのポジションとお考えください。

 例えば、施設長、所長、課長、マネジャー、主任、リーダー、ヘルパー(上級)、

 ヘルパー(中級)、ヘルパー(初級)などです。

 

 基本的に職位の名称や、どんな職位が必要か等の指定はないので

 事業者が自由に決められます。

 

 ※ただし、自治体によっては介護職員(いわゆる現場のヘルパー)は

 2段階以上に分けなければいけないといった指定があるようなので

 事前に確認しておきましょう。

 

 

②職位ごとの職責や職務内容を決める

 例えばリーダーであれば「困難事例に対応する」、「中級、初級ヘルパーを指導する」など、

 その職位の人がどんな仕事や責任を受け持つのかを明確にするということです。

 

 

③任用要件を決める

 任用要件とは、どうすればその職位になれるのかという基準とお考えください。

 例えば、経験年数、資格の取得、昇格試験などです。

 

④職位や職責、職務内容に対応する賃金を決める

 一般的には職位が上がるほど基本給が高くなったり、手当が増えます。

 

 

キャリアパス要件Ⅲ

キャリアパス要件Ⅲでは、経験年数・資格・一定の評価基準のどれか1つ以上を基準として、

何をすれば(どうなれば)昇給するのかを明確にしましょう。

キャリアパス要件Ⅰで決めた職位や職責、職務内容に対応する賃金体系に

連動する形で仕組み化することがポイントです。

 

 ※「一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み」の留意事項

 評価とは「実技試験」「人事評価」などが想定されています。

 ただし、客観的な評価(採点)基準や昇給の条件が就業規則や社内の規定で明文化されている必要があります。

 また、「定期に昇給を判定」については、必ずしも毎年1回判定が必要というわけではありません。

 

【キャリアパス要件Ⅰ・Ⅲを満たすキャリアパス表の例】

キャリアパス要件Ⅱ

キャリアパス要件Ⅱは、Ⅰ・Ⅱと違い人材の育成に関する要件です。

ポイントは次の2つです。

 

 ① 職員との意見交換をふまえて、資質向上のための目標を決める

 ② 目標を達成するための計画を作成する

 

また、目標や計画を決めるだけでなく、実現するための取り組みを行うことも求められています。

 

具体的には、以下のどちらか(あるいは両方)を行うことで

キャリアパス要件Ⅱを満たすことが出来るということです。

 

 ① 作成した計画に沿って、研修や技術指導などを実施する+職員の能力評価を行う

 ② 資格取得のための支援を行う

 

1つずつ見ていきましょう。

 

①作成した計画に沿って、研修や技術指導などを実施する+職員の能力評価を行う

 ここで言う研修や技術指導とは、社内での集合研修OJT(先輩や上司の普段の仕事を通じて人材を育成すること)、

 OFF-JT(職場を離れて指導や研修を受けること)などを指します。

 

 さらに、次の育成につなげるために能力評価を行い

 職員が研修や技術指導を受けてどのように向上できたか、

 そして改善できる課題は何かを把握し次の計画作成につなげることまでセットで必要です。

 
②資格取得のための支援を行う

 例えば以下のような支援が挙げられます。

 ・研修受講のための勤務シフトの調整

 ・費用(交通費、受講料等)の援助 など

 

ここに注意!

キャリアパス要件全体を通しての注意点は、「必ず明文化し、全ての職員に周知すること」です。

 

キャリアパス要件Ⅰ・Ⅲで決めたキャリアパスや、

キャリアパス要件Ⅱで決めた研修計画や能力評価の方法、

これらはすべて書面(就業規則や賃金規定、社内規定など)を作成して

全ての職員に周知しておかなければ

キャリアパス要件を満たせているということになりません。

 

せっかく作り上げた制度も、社長の頭の中だけにあったり

書面が作成されていても一部の管理職しか知らない状態ではNGです。

 

従業員とのトラブルにつながったり、実地指導で書面や周知の状況を確認され

処遇改善加算の返還となることもあり得ますので、

現状書面と周知ができていない場合は早急に対応することをおすすめします。

 

 

 

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