はじめに
令和6年度の報酬改定によって、6月から処遇改善加算の一本化が予定されています。
その前段階として、令和6年2月~5月に臨時で処遇改善のための交付金が
障害福祉事業所に対して交付されることになりました。
厚労省によると、障害福祉事業所の職員一人あたり月額平均6,000円相当の
賃金アップとなるようにこの交付金を交付するとのことですが、
実際はどのくらいの交付金がもらえるのでしょうか。
また交付金をもらうために事業所は何をすれば良いのでしょうか。
以下で詳しく解説していきたいと思います。
※処遇改善加算の一本化について詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください
手続きの方法は?
この交付金をもらうためには、通常の処遇改善加算と同じように計画書の作成・提出が必要です。
具体的な提出先や提出方法等は次のとおりです。
◆提出先
事業所のある都道府県
※市町村から事業者指定を受けている場合でも、一律で都道府県に計画書を提出します。
◆提出方法
都道府県ごとに決められた方法
※郵送、メール、電子など
◆提出時期
都道府県ごとに決められた時期
※基本的には処遇改善加算の計画書と同じタイミングで4月中旬までに提出になると思いますが
必ず都道府県のホームページをご確認ください。
※交付期間終了後、実績報告書の提出も必要となります(詳細は未発表)
◆提出するもの
都道府県ごとに決められた計画書
※厚労省のホームページに様式が掲載されていますが、
各都道府県のホームページ等に掲載されたものをお使いください。
※以前令和4年にあった臨時特例交付金のときのような、賃金改善開始の報告の提出はありません。
いくらくらいもらえる?
交付金の金額は以下のように計算します。
毎月の総報酬(基本報酬+加算・減算※)× 交付率 = 交付額
※上記の「加算・減算」には、処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等加算も含まれます。
また交付率はサービスごとに決められており、下記の表のとおりとなります。
例えば居宅介護で月の総報酬が100万円の事業所の場合の交付額は、
100万円×1.6%=16,000円です。
(厚労省資料「【概要】福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金」より引用)
もらうための要件は?
交付金をもらうための要件は次の3つです。これらすべてを満たさなくてはなりません。
(1)福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算を算定している
すでにベースアップ加算を取っている事業所であれば問題ありませんが、
現状取っていない場合は、令和6年4月のサービス提供分から取る必要があるので
自治体へ加算届や計画書の提出が必要です。
※一般的に、4月からベースアップ等加算を取り始める場合の加算届や計画書の提出期限は
4月中旬になることが多いので、この交付金の計画書と同じタイミングで提出すれば良いと思います。
(2)原則、令和6年2月分から賃金改善をする
ただ、就業規則等の変更が間に合わない場合が想定されるため、
2月分は3月分とまとめて賃金改善をすることも認められています。
しかも、2月分・3月分は一時金で支給してもOKです。
(3)交付金の全額を賃金改善にあて、かつ4・5月分の交付額の2/3以上を基本給等のアップに使う
処遇改善加算と同じように、もらった交付金はすべて職員の賃金改善に使う必要があります。
会社にプールしたり、他の用途に使うことはできません。
また4月分・5月分に限っては、ベースアップ等加算のように
基本給(時給・日給・月給)や毎月決まった金額で支払われる手当をアップする必要があります。
ただ、あくまでも2~5月にもらった交付金の総額以上の賃金改善、なので
月ごとに交付金の金額を上回っていないといけないわけではありません。
交付金の配分ルールは?
交付金は介護職員だけでなく事務員や調理スタッフ等、直接利用者へサービス提供をしない職員にも配分ができます。
誰にいくら配分するかは事業所が任意に決めることができるので、
運用としては現行のベースアップ等加算と同じだと捉えていただければ良いと思います。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
今回の交付金で重要なポイントをまとめると以下のとおりです。
・3つの要件を満たす必要がある
・2月(または3月)から賃金改善を行う必要がある
・都道府県に計画書を提出する必要がある
ご参考になれば幸いです。