はじめに
今回のテーマは「福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金の概要について」です。
この交付金は簡単に言うとすでに処遇改善加算を取得している障害福祉・介護事業者を対象として、今取得している処遇改善加算に上乗せして支給されるものです。
正直、まだ不明確な部分もあるのですが・・・今回は、交付金の概要や支給を受けるために必要な手続きについてお話ししたいと思います。
細かい注意点については、社会保険労務士である兄の上田貴俊が社労士の観点で交付金についてお話ししている記事がありますので、よければそちらもチェックしてみて下さい。⇒【社会保険労務士が語る】福祉・介護職員 処遇改善臨時特例交付金の注意点
交付金の支給額について
ではまず、交付金が一体いくらもらえるのでしょうか?
それは、事業者によって異なります。
なぜなら、次のような式で計算するからです。
交付金支給額の計算式
ひと月の総報酬 × サービスごとの交付率
これで金額が決まります。
まず交付率ですが、このように、指定を受けているサービスごとに決められています。
訪問介護なら2.1%、通所介護なら1%、就労継続支援A型なら1.3%、放課後等デイサービスなら1.9%などとなっています。
そして、総報酬とは基本報酬+加算・減算を含めた 全ての報酬額です。今取得している処遇改善加算も計算に含めてOKです。
この総報酬が交付金の計算の対象となるのが、令和4年2月〜9月のサービス提供分です。
つまり、未来の話です。
ここは重要ですので覚えておいて下さい。
簡単に言うと、月ごとの利用者が多ければそのぶん支給額も多くなるという関係性になっています。
交付金の取得要件について
では、どの事業所が支給の対象になるのでしょうか?
具体的には次の3つの要件に当てはまる事業所です。
交付金の取得要件
① 既存の処遇改善加算のⅠ、Ⅱ、Ⅲのいずれかを取得している
※ ただし令和4年2月サービス提供分から処遇改善加算を取得していることが必要
② 原則、令和4年2月から賃金改善を行う
※ ただし就業規則などの改正が間に合わない場合は、令和4年3月分とまとめて2月分の賃金改善を行ってもOK
③-ⅰ 交付金は全額賃金改善に充てる
③-ⅱ 交付金合計額の3分の2以上をベースアップ等に充てる
※ 毎月の交付額の3分の2ではなく2月~9月までの交付金の合計額の3分の2以上
なお、残りの3分の1の交付金は賞与などの一時金に使うことが出来る
また、ベースアップ等とは
① 基本給
② 毎月必ず固定で支払われる手当
⇒ ①または②を引き上げることです。
※ 支払われない月がある等、変動する手当を引き上げても支給要件を満たせないのでご注意下さい。(賞与、残業手当など)
必要な手続き・スケジュール
最後に、必要な手続きやスケジュールを確認しましょう。
①賃上げ開始の報告
まず超重要なのが賃金改善開始の報告です。
令和4年3月末までにこれを出さないと交付金はもらえません。
つまりこの報告は「交付金をもらいたい!」という意思表示をするというイメージです。
提出先は各都道府県です。これを提出していないと、たとえ支給要件を満たす場合でも支給対象外となってしまいますので、絶対に忘れないで下さい。
②計画書の提出
報告が出来たら、次に令和4年4月15日までに計画書を提出する必要があります。
計画書の様式はこの動画の撮影日時点(撮影日:令和4年2月16日時点)では発表されていないのでわからないのですが、処遇改善加算の計画書に近いものではないかと予想しています。
③交付金の支払
計画書の申請が通ると6月から国保連を通して交付金が支給されるようです。
◆注意点◆
6月に2月から4月分をまとめて支給、その後は11月まで毎月支給となっており、2月から毎月支給されるわけではありません。
④実績報告書の提出
すべての交付金の支給が終わったら、実績報告書を提出する必要があります。
実績報告書の提出期限は令和5年1月中を予定しているようですが、これもまだ詳細は発表されていません。
※ 撮影日時点(撮影日:令和4年2月16日時点)での情報です。
なお、もし支給要件を満たしていなかったということになれば、「交付金を返して下さい!」と言われる可能性があります。
特に、交付金合計額の3分の2以上をベースアップ等に使うことが出来ているかをよくチェックしておく必要がありそうですね。
以上、交付金の制度概要や手続きについてでした。