行政書士という職業柄、行政法令の改正には注意を図るようにしております。
その際にパブリックコメントという形で国民から意見を公募することがありますが、これって一体何なんでしょうか。
パブリックコメントの全体像を把握することを目的として本記事をまとめてみました。
パブリックコメント制度とは
パブリックコメント制度とは通常で、正確には意見公募手続制度と呼びます。
行政手続法の39条で定めがあります。
(意見公募手続)
第三十九条 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない
命令とは施行令や施行規則といった政令、省令を指します。他にも公示や告示も対象です。
つまり国の行政機関が命令等を定めようとする場合には、事前に広く一般から意見を募り、その意見を考慮して国民の権利義務の保護を図るための制度だといえます。
なぜパブリックコメントを公募するのかというと、行政機関は立法機関ではないからです。
本来、国民に権利義務を課すのは法律で、国民から選ばれた議員が議会で採決することで民主制が担保されます。命令は行政機関が定めることができますが、あくまでも法律から委任を受けている関係です。
だとすると、民意はそこに反映されているのか?という問題が生じます。公務員は試験に受かればなるという関係性で、国民が選挙で選ぶわけではありません。
よって意見を広く公募して、透明性を図った上で国民から貰った意見を十分に考慮した上で改正しなければならないということです。
対象となる命令
命令と書くと一般的には、誰かに指示される動詞のイメージがありますが違います。
命令とは行政機関が定める規則です。
パブリックコメントの対象となる命令は次のものです。
- 政令
- 府省令
- 処分の要件を定める告示
- 審査基準
- 処分基準
- 行政指導指針
- ガイドライン
意見公募手続は行政手続法の第6章に該当しますが、第6章が適用除外されるものが規定されています。つまり上記に該当するものであってもパブリックコメントの対象とはならないものもあるということです。
逆に命令等に含まれないものであってもパブリックコメント制度で意見を公募しているものがあります。習慣でそうしているみたいなことですね。
パブリックコメントの流れ
命令等制定機関が命令を定めようとする場合には、その案を公示する必要があります。公示にはe-govが使われ、そこで意見を募り、メールなどで意見を伝える仕組みになっているということです。
30日以上、意見を募集出来るようにしています。
命令制定機関はその意見を十分に考慮しないといけません。(42条)
どんな意見があったのか、どんな風に考慮して反映したのか、はたまた反映しなかったのかという結果も公示する必要があります。意見がなかった場合には、意見はありませんでしたと公示が必要です。
最終的にその案は制定したのか、しなかったのか公示してパブリックコメント制度の流れは終了です。
このようにして行政機関が定める命令にも民意が反映されるような仕組みとなっています。
まとめ
パブリックコメント制度につきまとめました。
パブリックコメントとは簡単に言えば行政機関が定める命令に透明性を持たせて、民意が反映するような仕組みと言えます。行政機関は立法機関ではないので、国民の権利義務に影響を与えるものを、制定とする根拠制の1つと考えられるでしょう。
行政書士、社会保険労務士としては事務所で取扱う法令のパブリックコメントはリサーチするべきだという自戒を込めて締めさせていただきます。
お疲れ様でた。