実地指導・監査とは
「実地指導」「監査」と聞くと、ドキッとされる障害福祉事業者様が多いのではないでしょうか。
なんとなく怖いイメージのある指導や監査という言葉ですが、
対策さえしておけば必要以上に恐れる必要はありません。
この記事では主にこれから実地指導・監査を受ける事業者様に向けて、流れや対策方法を紹介しています。
目的
事業所が障害者総合支援法の基準に沿い、法令を遵守して適切な運営が行えるようにするために行われています。
実地指導と監査の違い
そもそも実地指導と監査は同一のもの捉えられていることがよくあるのですが、これらは別物です。
実地指導とは
実地指導の場合、通常は2周間前までに文書で通知があり、
行政の指導監督担当者が事業所の運営に対して「アドバイス」をするのが実地指導です。
実地指導の目的は「適切な運営を促すためのアドバイス」です。
なので実地指導の段階で「事業の停止」や「指定の取り消し」等の処分が言い渡されるということは原則ありません。
ただし、虚偽や法令違反の疑いが強い場合は即日「監査」に切り替わることもあります。
実地指導の頻度は3年に1回程度のことが多いですが、
それ以上の場合やそれ以下の場合、新規に指定を受けてから1年後など指定する自治体によりかなりばらつきがあります。
「自治体名 サービスの種類 実地指導」
とネットで検索すると要綱がでてきますので、チェックしておくと良いと思います。
なお、複数の事業所を集めて説明会を開催する「集団指導」という形式もあります。
監査とは
一方監査では、人員基準や設備基準、運営基準の違反の可能性が高いと認められる場合、勧告や命令が行われます。
実地指導で人員基準や加算の取得に不正の疑いが高いと判断されて監査に切り替わる場合の他、利用者や近隣住民の通報によって監査が入るケースが多いです。
これらを受けた際の返答が明らかに矛盾していたり、改善せず放置してしまうと、違反の内容に応じて「処分」が行われます。
<処分の具体例>
- 一定期間または永久に指定の一部または全部の取り消し
- 不正な給付金の受給があった場合、返還金として徴収
処分が行われた場合、その後の指導等に支障がない限り
自治体のホームページ上に施設名や処分内容が公開されてしまいます。
まとめると
- 定期点検として行われるのが「実地指導」
- 何らかの違反が見つかったor違反の可能性が高い場合に行われるのが「監査」
ということになります。
実際、指摘を受けるのはどんなこと?
地域や提供するサービスによりチェックの基準や観点は異なりますが、原則以下の点が主な指摘の観点です。
- 人員配置が基準を満たしているか
- 個別支援計画書は適正な手順で作成されているか
- 出勤簿や日報、会議録で不自然な点はないか
- 不正な加算の算定はないか
東京都の場合、特に指摘回数が多かったのは
- 虐待防止等のための必要な体制の整備に不備がある
- サービス提供の記録をつけていない、サービス提供の記録について利用者から確認を得ていない
- 個別支援計画未作成について減算していない
(H31年度実績データ)
これらの指摘事項を踏まえ、事業所にきちんと書類を揃え整理しておくことが大切です。
書類の保管が煩雑で指導担当者の求める情報がすぐにわからない状態だと違反を疑われることにも繋がりかねません。
過去の分も含めて整理し、紛失しないように保管場所を決めて管理しましょう。
用意しておくべき書類
以下は一例です。自治体やサービスの種類により別途用意する必要があります。
- 重要事項説明書
- 従業員の研修記録
- 加算の記録
- 苦情の記録
- 事故の記録
- 出勤簿
- サービス提供記録
- 個別支援計画
- 非常災害対策計画
最後に
実地指導は、きちんと対策しておけば必要以上に恐れる必要はありません。
上述した全ての書類がチェックされるというわけではありませんが、どれをチェックされても良いように整理されている状態が理想です。
日々業務に追われる中で後回しにしてしまいがちな書類の管理ですが、
実地指導や監査に備えるために、そして利用者を守るためにも適切な運営と管理をしていきましょう。